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俳優オタクで舞台オタク

2021年ロミジュリ白盤モンタギューが好きという話

2021年5月から7月、依然として厳しいコロナ禍で、予定していた全公演を完走したミュージカル ロミオ&ジュリエット。東京公演終了から大阪公演開幕の休演期間に発表された2021年版のDVD発売には、正直驚きました。2013年初演のこの作品は、前回公演である2019年版が発売されるまで円盤化はされて来ていませんでした。主催側の、コロナ禍という緊急事態においてもできるだけ多くの人に作品を届けたいという「建前」と、劇場での収入だけでは正直厳しいという「本音」もあるのではないかと思いましたが・・・個人的に「大正解」を叩き出されたこの組み合わせでの円盤化を決めてくださった主催に、足を向けて寝られなくなってしまいました。

 

ここでは、ミュージカル ロミオ&ジュリエット2021年公演White ver.に収録される甲斐翔真、前田公輝、新里宏太演じるモンタギューの3人組について、考察含め、とにかく、私がものすごいこの3人の組み合わせのことを好きになってしまった!!という話になります。円盤発売記念にまとめておきました。発売楽しみ・・・

 

・はじめに:ロミジュリと私


私が初めて見たミュージカル版ロミジュリは2017年版で、ロミオ:古川雄大、ジュリエット:生田絵梨花、マーキューシオ:平間壮一 という組み合わせでした。ベンヴォーリオとティボルトは当時のWキャストさん両方拝見しました。まだ古川雄大にハマる前だったので、回数は2公演、今や大好きな女優さんとなった木下晴香ちゃんのデビューを見逃したことは本当に後悔しています。
2019年はすでに古川雄大のオタクだったので東京、愛知、大阪公演で9公演、全キャストさんを見ることができました。とにかく充実していました。
当時も、ベンヴォーリオ役だった木村達成に新たにはまったりして、ロミジュリは永遠に沼なのですが、2021年はまたちょっとワケが違いました。

2020年1月、甲斐翔真がミュージカルデビューしました。
それまでびっくりするくらいノーマークでした、アミューズの若手の中でも歌が上手いことは知っていましたが、(むしろ最推しである小関裕太の歌うまポジが彼に取られたりしてちょっと凹んでた)まさかここまでとは。デビューのデスミュで「なんかすごい子だったんだな」と思っていたら、RENTのロジャーがあまりのハマり役でリピチケに手を出し、MAのフェルセンで怒涛の歌唱力アップを見せつけられ、そして2021年4月のハンサムライブで沼落ち、推しはじめました。すごい1年でした。
ロミオ役が決まり、絶対に似合うじゃん、と思い、行けるだけチケットを取りました。
正直いつ始まっていつ終わってしまうのかわからないので、多めにチケットを取ったつもりでいました。結果として、全然足りませんでした。円盤があって良かった。

というわけで本題です。
2021年のロミジュリ、白盤のモンタギューの組み合わせが大好きです。

 

・新里マキュ

とにかく全部好きです。マーキューシオとして大好きな要素ばかりです。まずキャラデザの部分から、顔がいいしスタイルがいいしピンク髪で治安が悪いのも最高。ディーゼルのベルトがヴェローナにあるのは正直めちゃくちゃ笑いましたが、お手軽(金額は手軽ではないが)にマーキューシオとリンクコーデできるので良いです。
新里くん自体がどんな方かは、正直よくわかってないのですが、かなり陽気でフランクな人なんだなとSNS等を拝見して勝手に思っています。実は2019年にダイナミックコードという舞台で拝見していたのですが、正直その時のビジュアルはそこまで好きではなかったので・・・マキュのビジュアルがここまでどハマりするとは。やはり衣装とヘアメイクは大事・・・
そして本当に歌が上手い。マブの高音は聞いた時本当にびっくりしました。演技も上手で、なんていうか、マキュだな、という動き。平間マキュにちょっと近いなと思う時もあるけど、そこまで壊れてないし、怖さもそこまでない。あとは優しい。アルマとかに・・・(いや絶対アルマは新里マキュのこと好きだろって思っているんだけども。新里マキュが死んだ後のアルマよ・・・ロミオ死んだ時のアルマは呆然としてるけど、新里マキュが死んだ時は慟哭だもの・・・)
新里マキュは「いい子」なんだと思っています。お育ちも良い。でも大人が嫌いなのかなと。お辞儀しないし・・・その分仲間のことが大好きで、大好き!ということを隠さない。もともとは明るい子なんだと思います。キャピュレットのことは嫌いだしティボルトのことは殺したいくらい嫌いだけど、だからと言って舞踏会で寝首かくほどじゃない、からかってやろうくらいの気持ち。それより女の子と遊ぶ方が優先だし、ロミオも女の子引っ掛けて遊んでこいよくらいに思ってるから、ロミオが舞踏会で「出会っちゃったかも」みたいな顔をした時に、行ってこいよ!とでもいうように肩叩いちゃう。(それがキャピュレットの愛娘だとは思ってないけど)
実は、私の中でのマーキューシオ像は、2012年にロミオを佐藤健、ジュリエットを石原さとみがやっていた舞台版で、菅田将暉が演じていたマーキューシオなのですが(初めて見た舞台上でのマーキューシオだったもので、親みたいなものです)、雰囲気が似ているな、と思いました。かわいい顔、陽気なキャラクター、でも死の影がある、それがものすごく好みでした。

 

・前田ベン

前田ベン・・・My Bestベンヴォーリオが木村ベンなのですが、それに続くレベルのベンヴォーリオ来ちゃった、と思いました。お歌がとてもうまい、というわけではないけど、こう、演技がとにかく良い。でもミュージカルもボイトレもやったことないのにこの才能はどうした?イケコがカーテンコールのたびに推す理由がわかります。
前田ベン1幕がとにかくかわいいのなんの・・・ずっとニコニコしてるしモンタギューのこと大好きなんだなってすごく分かります。世界の王もマブも綺麗は汚いもすごく楽しそう・・・ロミオに絡むのも可愛くてマキュを諌める姿も愛嬌があって、ロミママにもひょうきんな対応をするし、今時っぽい若者(ただし喧嘩は強い)という感じ。それがいい・・・普通の明るいいい子・・・
それなのに2幕始まってから急に、自分が信じていたものが全て自分の手からこぼれ落ちていくのがありありとわかる。前田ベンは大きな演技はしないのですが、表情、首の動き、手の動き、足の進み方でものすごい自然に、緩やかな崩壊を思わせるような演技をしている。すごい、これがとにかくすごい・・・
私は甲斐ロミオ回でしか前田ベンを見たことがないのですが、甲斐ロミオの「街に噂が」は過去稀に見る能天気ぶりなので、それを見た時から「おかしい」と感じている前田ベンの様子、それを受けたマキュを見る前田ベンの様子、繊細だけどわかる、何かが壊れていくのをしっかり感じていて、でもどうすることもできないのが前田ベン・・・
マキュが自分の膝の上で死んでいくのを見て(そして死んだ瞬間膝を少し広げて首をカクン、と落とす技術最高すぎてわけがわからない)泣き叫ぶわけでもなく何か大きく行動するでもなく、それでも喪失感はしっかり伝わるからすごい。それが一番すごいのは霊廟なんですけど・・・ロミオに触れることができない前田ベンは(いやこれは味方ベンもなのだが)後ろ向いちゃう、それくらい、何もできない。自分の手を見て首を振る・・・すごい、すごい。その後もロミオの手とジュリエットの手を重ねて、お祈りすることしかできない。神父様に抱きしめられてやっと地に足がつくような、そんな、前田ベン・・・好きすぎて噛みしめる「・・・」の多用がすごいですねごめんなさい。

 

・甲斐ロミオ

もはや何から話したらいいのかよくわからないのですが、とにかく「ロミオじゃん」と思いました。それまで私が見ていた「ロミオ」はやっぱり古川ロミオで、「かっこいいヒーローだけど、どこか影のある、色っぽい青年」だったので、最初に甲斐ロミオが登場した時のふわふわ具合というか、陽の気というか、影?どこ!?色っぽさ?こんな純粋無垢な子に?!みたいな気持ちになってしまいました。(とはいえ、ジュリエットに出会ってから急に色気出る)そして、これは「好かれる男」の典型だな、とも。彼自身の性質もあると思うのですが、騙されやすくて人が良くて、誰にでも分け隔てなく愛を振りまける存在、というイメージが甲斐ロミオにはありました。
世界の王やマブの女王での、ベンヴォーリオやマーキューシオに対しての反応も可愛らしく、毎回等身大というか、年相応でいたずら好きな青年といった印象を残してくれるのですが、僕は怖いで一転、その陽の気に取り付いた「死」と対峙するようなイメージ。「陽の気」はジュリエットと出会ってからの甲斐ロミオにもしっかりと見られるのが本当に、好きでした。1幕、ずっと笑顔なんですよね。なんなら神父様にお願いするときも、辛さよりもジュリエットと出会えた喜びや、どうにかして結婚したい必死さ、という前向きな印象が強いです。
それは、2幕になってからも続き、逆に怖いくらいの印象に変わっていきます。顕著に出るのは「街に噂が」。みんなが必死に思いとどまらせようとロミオに訴えるけれど、驚くほど能天気に「愛することが名誉だ」「この愛がある限り生き続ける」などと笑顔で宣います。それを見たマーキューシオが「もう、終わりだ」というのも頷けてしまう。だって全然話が通じないのだから・・・
甲斐ロミオの見どころは、この「陽気ゆえの話の通じなさ」にあると思っています。基本、楽観的に生きてきたのでしょう。「死」に怯える瞬間はありつつ、愛や友情や親愛を疑うことなく信じている、そしてそれが、自らを滅ぼすとは思っていない。だからこそ、忠告をされていたのにも関わらずそれに裏切られたとき(マーキューシオやジュリエットの死と直面したとき)、それまでの陽の気が打ちひしがれ、一気に転落を見せる。両極端にふりつつ、ラストシーンでは「自らとジュリエットのハッピーエンド」に向かうため笑顔を見せる。ロミオの死を歌う笑顔の甲斐ロミオ、圧巻です。

 

・前田ベンと新里マキュと甲斐ロミオの相性がすごいっていう話


とにかくこの3人は明るい。みんな明るいモンタギュー。みんなの兄貴分の前田ベン、落ち着きのない真ん中っ子のロミオ、かわいい末っ子マキュ、だと思ってます。みんな壊れてないし、結構普通の子たちで、まっすぐ育っている印象があります。それはマキュも同じで、3人でいるときはただの遊び人、といった感じ。例のインスタ()に3人の写真めっちゃ上げてそうだし、マキュは自撮り大好きそうだしタグ付け名人っぽいし、ロミオはウィンクできないのがマキュのインスタでばれそうだし、ベンの隠し撮りとか変顔とかめっちゃありそうだし、そういう普通にいそうな仲良し3人組って感じがして、バランスがとてもいい。その関係性がロミオの行動で壊れていく2幕の「街に噂が」の地獄っぷりったら・・・本当に地獄です。
甲斐ロミオの場合、ジュリエットと出会うまで本気であの2人のことが一番だったと思うし、なんならジュリエットと出会ってからだって、彼女の次はマキュとベンだと思うわけです。でもどうやったって、ジュリエットに出会ってしまったからには逃れられない、だから2人もわかってくれると思ってた、だって今までだってそうだったから。甲斐ロミオ、そういうところあると思うんです、ずっと3人で一緒だったから、感情だって同じだって、みんなわかってくれるでしょ的なところが。そうじゃないと「街に噂が」であんな顔できないので・・・
新里マキュは優しいけど、キャピュレットは嫌いだし大人は嫌いなので、甲斐ロミオが純粋に好きだからと言って真正面から受け止められるほど優しくはない。だからこそあそこで落胆してしまう。前田ベンも普段ふわふわしちゃってる甲斐ロミオの態度にどうしたらいいかわからないし、ああこの世は地獄なのか・・・
それからの決闘・・・前田ベンの喧嘩の強さがすごいし、新里マキュはよく動く、とても動く、すごい軽く動く。それに対してデカさで全てをカバーしてきた甲斐ロミオ、攻撃のつもりがなくても押し返すだけでそれは攻撃と化してしまう・・・キャピュレットの人たちぶっ飛ぶ・・・この3人の決闘バランスがすごい。すごく良いので息を飲んでしまう。で、マキュの死です。新里マキュの死、最初見たときは全然死ななそう、とか思ってたけど、公演後半すごく良くなって・・・倒れる瞬間から壮絶だし、倒れた後のロミオに対する顔がすごく優しい。新里マキュは圧迫止血しようとする甲斐ロミオの手を引き剥がして握るのがとても良くて、この2人の組み合わせの時だけなんですこの引き剥がすやつ・・・
で、前田ベンも甲斐ロミオの止血に参加するので、3人が手を合わせることになるんですよ・・・すごいバランス。新里マキュはあまり動かないで死んでしまうので、ベンの方まで手が伸びないんだけど、それを何もできずに見ている前田ベンがかわいそうでしょうがない。それが前田ベンの繊細な演技にあっていているのもすごい。びしゃびしゃに泣いているロミオ、微笑んで死んでいくマキュ、何もできずに呆然とするベン。ここのバランスが本当に良い3人です。

とにかくこの3人の場合は「最強の3人組の転落」が見れるのが素晴らしいのです。(BGMは青春アミーゴ)ロミオがジュリエットに出会いさえしなければ、この3人は本当にヴェローナの覇者になっていたのだと思います。陽キャ3人の楽しい世界の王見てたはずなのに2幕始まったら地獄になってる、その対比がとんでもないのが白円盤組だと思います。
今まで自分の中でモンタギューの3人組に対して思っていたことが、この組み合わせで結構変わったというのもあって、個人的に大好きな組み合わせになりました。配信の日がそのまま収録になるのだとはわかってはいるけど、この日の組み合わせを選んでくれた主催に感謝です。本当にありがとうございます。

 

さて、発売が近づいているロミジュリ円盤。白盤、黒盤と2パターンで発売されます。結局私は2つとも予約してしまいました。(特典映像豪華すぎて抗えず・・・)今回の円盤、特にいろんな組み合わせが見れるのでおすすめです。

皆様もぜひ、ロミジュリの沼に浸かってくださいませ。(ダイマ

 

www.rj-2021.com